組織工学について Q13

Q13 ティッシュエンジニアリングを始めたいのですが、どのような知識や設備が必要ですか?

(A13) ティッシュエンジニアリングの成功のためには、異なる学問分野の成果を適切に融合する必要があります。よく言われる組織工学の三要素としては,幹または前駆細胞,細胞の担体となるマテリアル、培養に必要な分化増殖因子、が挙げられますが、1・3番目は基礎医学・基礎生物学といった学問が、2番目は応用化学といった学問が、それぞれ研究を担ってきています。これに加えて、未熟な組織臓器を生体外で育成するために生物工学と、最終的な治療効果を評価してその結果を開発にフィードバックするための臨床医学、なども三要素に加えて必須であると考えています。従って、ご自身の専攻分野以外の最低限の知識と方法論を学ぶ必要があります。この目的のために、やや古くなってしまいましたが、京都大学の岩田博夫先生の書かれた「生体組織工学」(産業図書,1995年)を推薦いたします。一方、組織工学・再生医療の到達度は目的とする組織臓器によって様々で、日々進歩しています。これらについては,多数のよい成書が出版されています。もし,他分野とは言えある程度研究の経験を踏まえているならば、広範な知識を隈なく習得しようとするよりも、まずは目的意識的に必要な知識・技法を学び、予備的に研究を始めてみるのがいいかと思います。
 実験に必要な設備ですが、まずは通常の細胞培養用のものは最低限必要となります。これに加えて動物実験を行うとなれば、動物飼育設備が必要となります。担体は簡単なものならば、ちょっとした努力で自作は可能ですが、今は市販のものも出ています。バイオリアクターを使った組織育成まで進めるとすれば、それらの装置を購入する必要があります。組織工学・再生医療の目的で細胞を培養する上で最大の問題は、培養液や増殖分化因子が極めて高価なことです。これも目的とする組織臓器と出発細胞に何を用いるか、によりますので、具体的に考える必要があります。

(東京大学生産技術研究所 酒井 康行)

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