人工肝臓について Q12

Q12 肝臓と人工肝臓の働きについて教えてください。

(A12) 肝臓は「人体の化学工場」ともいわれるほど、人体の代謝反応において中心的役割を果たしています。わかっているだけで500種類以上の機能を担っていますが、それらは全てひとつひとつの肝細胞によって実現されています。それらは,糖・脂肪・タンパクといった三大栄養素の中間代謝(合成供給・貯蔵・分解),チトクロームP450と呼ばれる酵素を中心とした薬物代謝・解毒反応(水溶性物質に変換),脂質の腸管吸収を助け薬物毒物の排出にも使用される胆汁の合成(小腸の始めの十二指腸へ分泌される)、ビタミン・鉄の貯蔵と供給などが主なものです。
 肝臓のマクロ・ミクロな構造に着目すると、上記の代謝反応に適した構造をとっていることがわかります。まずマクロな循環系をみると、肝臓には酸素供給用の肝動脈のほかに、栄養素のほとんどが吸収される小腸から腸間膜を経て、門脈と呼ばれる血管が直接流入しています。この2つの血管は内部で合流して、肝静脈となり心臓を経て全身に回ることになります。つまり腸管から吸収された栄養素や毒性物質は、肝臓での代謝反応を受けないうちは全身に回ることができない構造となっています。さらにミクロな構造に着目すると、肝細胞はおよそ二層に並び、微小な穴の開いた特殊な血管内皮細胞層を介して、血流と高効率で接触ができるようになっています。隣り合った肝細胞同士の結合部分には微小胆管が伸びていて、これが肝臓全体で合流して胆汁となり、胆嚢に貯蔵された後に十二指腸へ分泌されます。
このような肝臓の機能を人工的な装置で総括的に置き換えることは非常に困難であることから、「人工肝臓」としては,装置の内部に動物などの肝細胞を固定化するハイブリッド型のものについて研究が行われてきています。詳細は本ホームページの「人工臓器とは?」から「人工肝臓」のページをお読みください。装置開発に関する工学的な課題はひとまずほぼ解決されており、今後の課題は、ヒト正常肝細胞を如何に多量に得ることができるかである、といっても過言ではありません。この視点からは,ES細胞やiPS細胞から大量に能率よく肝細胞を得る技術の確立が強く望まれます。

(東京大学生産技術研究所 酒井 康行)

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