再生医療について Q11

Q11 再生医療とは何ですか?内蔵は人工的に作ることができるんですか?

(A11) 病気やけがで失われた臓器や組織を再生して元に戻す医療が再生医療です。1996年に米国のランガー教授とヴァカンティ教授が共著で提案した「Tissue Engineering(組織工学)」から爆発的に世界中に広まりました。もともとはそれ以前からやけど治療用の人工皮膚の開発で同じような考え方が用いられていましたが、ランガー教授らのネーミングが人々の心をつかんだのでしょう。Tissue Engineering(組織工学)は再生医療を支える技術です。再生医療は英語で「Regenerative Medicine」と表現します。研究者らの間では厳密な区別はないようです。国際的な学会も両方の名称を冠しています。
 再生医療の目標は人間のあらゆる臓器、組織を再生することですが、現在はまだそこまで至っていません。最も成功している例は、人工皮膚、角膜、軟骨です。これらは、患者から分離した細胞を用いて生体外で元の組織に近いものに育て上げ、これを患者の患部に移植します。他に、筋芽細胞の移植による心筋の再生、骨髄細胞を用いた人工関節の固定力向上、幹細胞移植による末梢循環不全の治療などが試みられています。
 再生医療の最も重要な要素は、組織や臓器を再生するための細胞の確保です。自分の細胞を用いればよいのですが、組織を再生するには長い時間がかかるため、緊急時には対応できません。そこで、他人の細胞を用いてあらかじめ臓器をつくる、細胞がなくても機能が発揮できる人工組織をつくるなどの方法が考えられています。最近注目を集めているのは、iPS細胞です。各人が自分のiPS細胞を作って組織を再生できれば細胞の問題は解決できます。現状で最も効果的な方法として、組織が再生するまで人工臓器で機能を補完する方法が提案されています。これは人工臓器の新しい使い方として注目されています。

(東京医科歯科大学生体材料工学研究所 岸田晶夫)

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